タイトル:
公と私の問題細かなところではもっともっと学ばなければならない箇所がたくさんあるのですが、ひとまず今回は本日で一段落させたいと思います。
さて、学級というのは人と人とが出会う場所。そしてそのつながりは、学級組織や授業を軸とした "公的な出会いとつながり"だけでなく、実はその裏側の "私的なつながり" もあることに目を向けなければなりません。
そしてその「公」と「私」は密接に関係していて、公的なつながりが豊かな「私」を育む場合もあるし、私的なつながりが公的な活動に色濃く反映される場合もあるということです。
たとえば、いじめは、私的な関係の中で起こっているがゆえに見えにくい。公的に子どもたちや学級を見てばかりいては、子どもたちの真の声や要求が聞こえてこないということです。
一方で、公的な活動が原因でトラブルが私的な場で起こることもあるわけです。良かれと思って取り組んだ実践が、公的にはうまくいったように思えても、子どもたちの私的な世界ではトラブルの原因になることもあります。
そういった意味で、この本に書かれている方法論が、子どもたちの私的な関係に何をもたらすのかに十分注意を払わなければなりません。
このことは、方法論というのは、今目の前の子どもたち(子どもたちの関係や力関係)をどう分析していくのかによって当然変わっていかなければならないということでもあります。
それは、子どもの実態だけではありません。学級集団の発展的な段階によっても、当然違ってこなければならないのです。たとえば、4月の係活動の方法と、12月の方法とでは違ってこなければなりません。
私は、子どもたちの私的な関係についての分析を「学級地図」を書くことで定期的に行っています。
また、学級集団の発展段階を【信頼回復と出会いの時代】【自治的な時代】【自治の時代】の三段階を見通して学級集団づくりを実践します。
また、その指導場面は、全員参加組織・自主的グループの指導・プライベート関係の指導の3つの場面を意図的に区別して指導します。
詳しくは、拙著「スマホ時代の学級づくり」をご覧下さい。
さて、いずれにしても、「ゼロから学べる学級経営」が若い人たちの学級づくりのとっかかりとしてとても大切な一冊になることは間違いありません。しかしそこにとどまらず、若い世代がもっともっと「学級づくり」(学級集団づくり)を通して、子どもたちを育てる視点を豊かに持ってほしいと願っています。