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三つのトラブル

日本の子育て・教育をめぐって増えてきている三つのトラブルについてのお話。今では、どこにでも「当たり前」にあると言ってもよいもの。

一つは、あいかわらずの保護者と「対学校・教師」とのトラブル。最近はなぜか学校側が強気になっているのが特徴。子育て自己責任論が背景にあるのかも。

二つ目は、家族間トラブル。子どものトラブルをきっかけに、地域において保護者同士、家族同士がトラブルになってしまうケース。 "一対多" 、になるケースが多いような……。

三つ目が、家族内トラブル。どの学年、どのクラスにも、難しい問題を背景に持つ子どもが複数います。10年前には考えられなかったこと。そういった子は当時もいたけど、今のように多くはなかった。

誰もが「生きづらさ」を抱えているのが今の日本。どこにも避難できず、どこにも支えがない中で、どのように生きていくのか……。大人はもちろん、子どもも同じように生きづらさを抱えていると言えるのかもしれません。

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画一化を生み出した教育改革

学校現場には以前から教師自ら「足並みを揃える」傾向はありました。しかし、今のように、上から「統一させられる」…、ことは少なかったと思います。

これはまず、教育基本法改悪で、第二条が、「方針」から「目標」に変わってしまったことと大いに関係あると思うのです。教育基本法に掲げられた目標を達成するための取り組みが始まり、成果をあげることが求められるようになりました。

そして、17条によって、国と地方公共団体は「教育振興基本計画」を立てなければならず、教育全体に対する「行政的な指導・介入」が可能になり、現場は上からの介入にさらに追いつめられ。異常な多忙化が始まりました。

ちなみに、強制された競争は画一化を生み出すようです。⇒KOYASUamBLOG2

学力テストでトップと言われている秋田県の真似を、無批判に、なんでもかんでも、やりやすいことから、やり始めることも一つの例かも。

いずれにしても、今の、権威的で窮屈で異常に多忙な現場が、先の教育改革で、きわめて政治的に生み出されたことは間違いないのです。

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きつつきのおもちゃを作る



くちばしが、たけひごを打つように調整することが大切ですね。

※久しぶりに動画のアップです。アップの方法を忘れてしまっていて、時間がかかってしまいました。

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「死ぬこと」を教えるべきか

子どもたちに「死ぬこと」を教えるべきか?ということがたびたび論争になります。「死は残酷なことで子どもの心に傷を負わせる危険性がある」という意見に対して「死をきちんと教えることを媒介として生の大切さを知るべきだ」という意見があります。

現場では、命の大切さを伝えてはいますが(教えてはいない)、死ぬことについては具体的に指導していないのが現実。その結果、命の大切さは「わかりきったこと」と軽視され、死ぬことは自分とは無関係であると "人ごと化" されています。

正直に言うと、私自身も "死ぬこと" をどう教えていいのかのスキルを持ち合わせていません。命の大切さを叫ぶことはできても "死ぬこと" をどう考えていくのかが整理できていない。あらためて考えなければならないと……。

子どもは発達段階に応じて、やはり、死ぬこととはどういうことなのかを知るべきだと思うのです。幼児期から、友だちに対して「死んでくれ」と叫ぶ子どもがいるのは日本ぐらいでは?

生きること・死ぬことは生物体としての人間の無条件的尊厳。いかなるトラブルも、死ぬことでは解決できないし解決しないことを知るべきだと。同時に、死の特質や徴候、死にいたる様々な危険についても教えるべきです。

また、他者の死を、本人やその家族の立場に立って思いやることを教えるべき。死については、世の中に様々な考え方があること。死を悼む様々なやり方があるけれど悼む気持ちは変わらないことを教えるべき。

人間の命についての社会的責任のあり方を教えるべき。命に関しては、日常の様々なやり方や約束も、場合によっては無視することが許されることを教えるべき。まだまだ整理できていませんね。でも、考えなければならない時代になってきました。

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新春対談「古山明男×塩崎義明」1/31(土)

新 春 対 談 「 古 山 明 男 × 塩 崎 義 明 」
〜学校の外と内から子どもの学びを考える〜

◆1/31(土)14:30-17:00
◆浦安市民プラザWave101 4階
◆参加費500円

さて、何を話しましょうか?あえて打合せ無しで、そこから何が生まれるものが楽しみ、という主催者さんの意見なのですが……。

学校ってそもそも地域子育てのための大切な共同のたまり場だったような気がするのです。だからそこの「長」は発言力があり、地域の名士だった。

編著「学校珍百景」にも書きましたが、校長が地域の名士だった証拠が校長室の写真。歴代の写真や銅像が飾られたり掲示されたりするのは、その地域の中で発言力があったからなんだと。それがいつしか、単なる行政サービス機関の長に成り下がってしまった。

学校を "子育て共同の場" でなく行政サービスの面を強く打ち出し始めたのは、2000年前後かなぁ?学力低下問題が言われ始めた頃。そこらあたりから教育が急降下的に形骸化・空洞化し、責任問題化し、教師にとってはブラック企業化したのでは?

いや…、そんな話をしてもなぁ……。学校の教師が、どんな珍百景の中で、悪戦苦闘しているのかを具体的に語った方がいいかなぁ……。悩みます。

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教師は「現場から教育される」

教師は「現場から教育される」という視点を持たないと、二つのものを失います。一つは、子どもとの信頼関係。もう一つは、同僚性です。

まず、子どもの実態や生活背景、そして反応を無視して、あれこれと情報を伝えようとしても伝わらない。そればかりか、一方的に伝えようとしたり、強制的に考えさせようとする教師に対して当然不信感を持つでしょう。つまり、指導が成立しなくなる。逆に言えば、教師は子どもの反応から学ばざるを得ないということです。

次に同僚性の問題。教師は、同僚との違いから学び、高めあい、そして癒される関係にあるはずなのです。実は、今の現場がそうなっていないところに、大きな問題があります。つまり、「違い」が封印され、高めあうことがなく、競争的な関係に置かれることで、個々が孤立しているのが多くの学校現場での教師だと言えます。

こうした、子どもとの関係、同僚性を無視して教師を教育しようとすると、机上の方法論ばかりを追う、小手先教員を生み出します。そして日本の学校はさらに堕落し、自らの力で再生していく力も失う危険性があるのです。

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三つの決意

三つの壁を乗り越え、子どもたちと出会う時に必要な三つの<<[決意]>>。それは…、

(1) 【聴き取ることの決意】
ルールを守らない、トラブルを繰り返すことを正す前に、その事情や背景にこそ目を向ける。そして、その子と頭を抱えながら、一緒になってその背景にはたらきかけることを大切にする。そのために、 "きちんとさせる" 、 "いうことをきかせる" ことよりも、子ども・保護者から『聴き取ること』が、 "第一にやらねばならないこと" とする。

学級は、最初は「荒れ」て「教師と子どもが馴れ合っている」ように見えるが、2学期中旬あたりから、教師と子ども、子ども同士が、信頼関係の中で意見し合い、活発な中でもけじめのある、落ち着いた雰囲気をかもし出し始める

(2) 【何を優先させるのかの決意】
今目の前にある、学び(授業や子どもの権利と自治を育てる集団づくり)の準備や実践を、楽しみながら、他のどんな仕事よりも優先させる。教師が楽しくなくて、どうして子どもが楽しいのか?というお話。(優先したくなるように質を高めるために自分自身が学ぶ。)

(3) 【同僚性の決意】
自分の成果よりも仲間の苦悩に目を向ける。謙虚さと気遣いをの中で、同僚からの「違い」から学び合う姿勢を大切に。同僚と違った教育実践の考え方や方法はすすんで公開。逆に、自分とは違った方法から大いに学び、違うからこそ、それぞれの技術が高まることを証明する。

『三つの〜』シリーズ。次回は、三つの決意のための、具体的な方法。

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胸をはって苦しさを語れる教師に

「テストの点が良いからって、おまえがやったこと、人として許されるのか!」と子どもに向かって真剣に叱っていた先輩教師がいたけど、今だったら「テストの点さえ良ければ可能性が広がる。そのためには、今、捨ててもやむを得ないものもある」と言い返されそう。

日本の学校の教師のどれだけが塾とは違う学校の役割や大切さを胸を張って語れるのか?という問題。そんなこと言ったら一瞬にして保護者や上からもつぶされる、という恐怖を持っている者が多。自分のやっていることに誇りが持てない教師が子どもに何を語れるのか?という問題。

まずは苦しんでいること、悩んでいることにこそ胸をはること。そして学力向上でない、そもそもの学校の役割を語ろう!しかしその指導が、大切だからこそ難しいことも、胸をはって語ってしまおう!

そして…、苦しんでいる教師の皆さん、苦しんでいることこそが、子どもたちや教育に対して真摯に向き合っている証拠。うまくいったことばかり語っている人は、申し訳ないけど私はあまり信用できないのです。

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学校の三つの壁

今の学校現場の三つの壁をどうにかしないと、子どもたち一人ひとりの安全や権利が保障できないし、困難に直面している子も救えないと考えています。

一つ目の壁は、「足並みをそろえる」「チーム○○小」と言って、指導方法を無理矢理統一させる最近の動きです。掲示物を貼る位置、黒板の書き方、発問の仕方、席の決め方、下駄箱にいれる靴の位置や傘立てに入れる傘の向きまで、「学校スタンダード」という言葉を使って、統一させようとします。

指導方法を統一させようとするのですから、その結果や成果も期待されているわけで、その成果が得られない子どもは、問題・課題のある子、として見られてしまうことになるのは当然のこと。

二つ目の壁は、教師に「忙しくて『仕事をする時間がない』」とまで言わせている、教師の異常な忙しさです。学校教育法の改悪によって、教育内容について行政が直接介入できるようになり、現場はその対応でますます忙しくなりました。何度も同じことを尋ねてくるアンケートもその一つ。千葉県などは、「先生のことで、いやだなぁと思うことがありますか。」などというアンケートまでとるしまつ……。現場は、上からの対応に追われています。

三つ目は、上記の二つの壁の結果として、子どもたちや保護者のみなさんとのすれちがい。本来、第一にやらなければならないことが、上記のこと優先で二の次にされてしまっている現実……。上記の壁をどう打ち破るかを考えないで、三つ目の課題ばかり追おうとしているために、どの教育技術もうまくいかず、逆に子どもを管理してしまうことに……。

では、こういった壁をどのようにして乗り越えていけばよいのでしょうか?難しいのが、一つ目や二つ目の壁が、きわめて政治的に行われているということ。簡単に越えられる壁ではないということです。しかし子どもたちのことを考えると、その壁を突き破らなければなりません。その方法とスタンスについてはまたの機会に。

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春を呼ぶ学習会バナー

ネットサークル:集団づくり研の春を呼ぶ学習会のバナーを作ってみました。ご案内ページにリンクしてあります。

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全生研 ネットサークル:集団づくり研 春を呼ぶ学習会

新たな気持ちで新年度を迎えようとする時期に、教師として「夢」と「決意」が持てる研修会を用意しました。

講演は、フリースペースたまりば主催の、西野博之氏にお願いしています。西野さんには、フリースペースとそこに集う子どもたちの側から、学校・教師に求められていることを語ってもらいます。

他にも、新しい子どもたちとの出会いの技術や、授業で子どもがつながる「授業あそび」の紹介も用意しました。

場所は、二松学舎大学の九段の新校舎です。一緒に学びましょう。ご参加下さい。

■日時 2015年3月29日(日) 午後1時〜午後5時
※(受付は午後12時20分から。後片付けは午後5時半まで)

■場所 二松学舎大学九段4号館4031教室

■参加費 2000円

■参加規模 80名

■内容

12:20〜12:50 受付
12:50〜13:00 開会(はじめの言葉、学習会の趣旨、日程説明)

13:00〜13:45
ミニ講座『年度始めの3つの決意と出会いの技術』
塩崎義明(全生研常任委員・千葉・小学校)

13:55〜14:40
授業あそびで子どもがながる
佐藤晋也(全生研常任委員・東京・小学校)
飯塚真也(全生研常任委員・千葉・小学校)

15:00〜17:00
講演「今、学校・教師に求められていること〜学校の功罪」
西野博之氏
特定非営利活動法人 フリースペースたまりば 主催
著書「居場所のちから〜生きているだけですごいんだ」

17:00〜17:30 閉会・後片付け

▼申し込みはこちらから
https://ssl.kokucheese.com/event/entry/256093/


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小学校で37年間学級担任として勤務/現在大学で教師を目指す学生に指導。/最新著書『教師と子どものための働き方改革』(学事出版)//iPhone12 Pro/Surface Laptop3/黒猫大好き/手相は両手とも「ますかけ」。

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ヨシムネ&ねね

しおちゃんマンの飼い猫、黒猫ヨシムネと ねね

ヨシムネ
ヨシムネ ♂
2005年8月生まれ。2006年8月に動物病院からしおちゃんマン家にやってきた。

ねね
ねね ♀
2008年6月生まれ。教え子(当時小6)達が公園で保護。2008年6月よりしおちゃんマン家の家族に。2017年7月28日逝去。

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