中学校学習指導要領第一章「総則(第4)」によると、そもそも進路指導とは「生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択できるよう、学校の教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行なうこと」とされている。「進路指導」とは、「生き方」を「主体的に」選択できる力を育てる指導なのだ。
しかし、たとえば中学校における進路指導は,高等学校への進学率が高まる中で,しだいに「学校選択指導」に偏っていった。しかも、その指導は、業者テストの偏差値などに過度に依存したものとなっていた時期があった。そこで1988年(昭和63年)、当時の文部省は中学校及び高等学校における進路指導に関する実態調査を実施。その調査結果によると、中学、高等学校における進路指導では、学力に偏った進路先決定の指導になっていることが明確になったのである。
このため、文部科学省では,各都道府県教育委員会などに対する通知等を通じて,中学校の進路指導を生徒一人一人の能力・適性などを考慮した本来の進路指導に立ち返るよう求めた。そしてその結果,現在では,中学校の進路指導の際,業者テストの偏差値などに過度に依存することは無くなっているものの、生徒や保護者は、塾などから出されるデーターを参考にして学校を選ぶ現実があるのは否定できない。
しかしながら、こうした中学校の「学校選択指導」の中にあって、文科省の調査によれば、2020年度高等学校における中途退学者数は34,965人(前年度42,882人)であり、中途退学者の割合は1.1%(前年度 1.3%)である。ただしこの数字は年間に30日以上休んだ人の数であり、ボーダーラインにいる生徒を含めれば、割合はもっと増えることが考えられる。
そして内閣府の調査によると、中途退学者数のその後の進路は、「働いている」が最も多く56%、そのあとに在学中31%、求職中14%。(平成22年調査)
在学中の内訳を見ると、最も多いのが通信制高校で50%。そのあとに全日・定時制高校が33%、大学が11%である。高校への編入については、平成29年度に発表されたデーターでは通信制が77%、定時制が14%。つまり、実際は中退後に通信制高校へ編入する人の割合は、より多いと予想されるのである。
子どもの数の減少により高校の数が減っている中、通信制高校の傾向は逆。入学者数も学校数も増えている。これは通信制高校が、全日制高校の退職者中途退学者数の受け皿として存在する面を持っているからであろう。
ちなみに私は、誤解を恐れずに述べれば、高校中途退学について、全て否定的に考えているわけではない。「進路指導」という看板を掲げた「学校選択指導」で、「自分で選んだ」というラベルを貼り付けられて進学した高校を、中途退学しただけである。つまり、やっと「主体的」になれるチャンスがめぐってきたと言えないだろうか。
しかし世間の目は、こうした進路にまだまだ冷たい。そして社会も、こういった若者たちの受け皿を準備できているとは言えない。いずれにしろ、中学校の進路指導にはまだまだ課題が多いことをここでは押さえておきたい。
一方、小学校でのキャリア教育も、残念ながら積極的に取り組まれているとは言えない。
小学校では特に、英語や道徳等々、上から「やれ!やれ!」と言われることが多すぎるのではないだろうか。
キャリア教育についても、小学生における、キャリア教育や未来を夢見ることの教育の必要性を感じる前に、とにかく「指導した」という事実づくりに必死になってしまっているのが現場の実情だ。
それでも、総合的な学習の時間などに「キャリア教育」を位置付けながら、保護者や地域で働く人たちにお願いして、働くことの意義や楽しさ、やりがいについて語ってもらう時間を作ったり、学区の商店街で職場体験をお願いしたり、本当に真摯に取り組んでいる学校も少なくない。
しかしながら、それらの指導が、子どもたちの夢見る権利を保障し、未来に生きる力、転換期を生きる力を育てているかというと、残念ながら疑問が残る。
たとえば、元Jリーガーだった人や、プロ野球選手だった人が保護者にいたならば、子どもたちのその人たちに話をしてもらうことで、夢の職業についてたくさん情報を発信することができるだろう。それはそれで夢のある授業になるのかもしれない。
しかし、私の言う「第2の進路指導」とは、その夢に到達しながらも、その過程で挫折したり、あきらめかけたりしたこと……、そして引退する時でも、さらにパワーのある生き方の出来る子どもたちに育てたいということであり、そういった力を育てたいということでもある。それが「転換期」に必要な力ではないだろうか。それをどう育てるのかの視点が、小中学校のキャリア教育は示してはいないと言える。
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