FC2ブログ

「術」と「道」

【学校づくりエッセイ・論文編】

2021年春に中学で実施される新学習指導要領の本文に、保健体育で武道の選択肢として「銃剣道」が初めて明記されたことが話題になりました。

文部科学省が2月に公表した新指導要領(案)で、現行要領より「武道」に力を入れる表現が入りました。

その武道とは当時、(柔道・剣道・相撲・空手道・なぎなた・弓道・合気道・少林寺拳法)でした。銃剣道は「授業の実施率が低い」(スポーツ庁政策課学校体育室)として省かれていたのです。

ところが3月末の完成版に、なぜか銃剣道が入っていた…、といういきさつのようです。

元陸上自衛官で「ヒゲの隊長」こと自民党の佐藤正久参院議員は、

「記載はあり得るのかと文科省に聞いたらパブコメに意見を、というので、自民党議員や自衛隊OB、自分の支援者に呼びかけた」

と説明したそうです。どうやらそういった運動やはたらきかけが実ったということらしいです。さらに佐藤参院議員は

「銃剣道はスポーツで実戦向けの銃剣格闘とは違う。剣道やなぎなたも元々は相手を殺傷するためのもので、銃剣道だけ批判されるのはおかしい」

と訴えました。銃剣道連盟の鈴木健専務理事は

「批判も含め思ったより話題になり、ありがたい。銃剣道が人間形成を目的とするスポーツだと多くの人に知ってほしい」

と論争を歓迎しているそうです。

さて、歴史をさかのぼれば、剣術・柔術と呼ばれていたのが、剣道・柔道として教授要目に記載されたのは、1926年(大正15年)です。昭和元年の年でもあります。

軍の要請を受けた当時の文科省が、なぜ「武術」を「武道」に変えて教授項目に位置づけたのかをもう少し調べてみましょう。

-----

1913年(大正2年)の学校体操教授要目は、体操科の教科として、中学校および師範学校男子生徒には、

『撃剣及柔術ヲ加フルコトヲ得』

としました。この動きに、当時の陸軍のはたらきかけがあったことは間違いないようです。(なにか…、今の動きに似ています)

軍は、日露戦争の勝因は、「白兵主義」、格闘主義、強固な「攻撃精神」にあったと主張。

※実際は、射撃や手榴弾などの近代兵器の方が優位であったことは言うまでもありません。ただ、なぜか軍は精神主義を言い張った。

そして昨日書いたように、1926年の教授項目の改正で、剣術、柔術ではなく、柔道、剣道という言い方が学校教育の中でも公的な位置を占めるようになりました。

いったい、「術」と「道」ではどう違うのでしょうか。

そもそも「道」には、精神修養という意味が強く、それを通して日本古来の精神、とりわけ『武士道精神』を学びとり、立派な人格を作り上げるのだという主張が広がっていたようです。

しかし、当の武士たちは、武術と武士道とを区別していました。武術は技であって、武士道は道徳だからです。

そもそも、武術を練習すれば「強固ナ攻撃精神」が養われるなどという軍の発想が、道徳に対する把握の低級さを示していると言わざるを得ません。逆に、武術に対しても失礼です。

戦時中でも、剣術や柔術をよくやった人だけが勇敢だったかというと、そんなこともなく、逆に何もやっていなかった人だって勇敢だった、という話も聞きました。

当時の軍は、武術の学びを与えたのではなく、道徳としての武道を取り入れたのです。そして、そのねらいは、自己の命をも省みず、天皇のため、国のために尽くす忠君愛国の精神だったのです。

今回の学習指導要領の改訂も、おそらく同じようなねらいがあると考えられます。

「武道に積極的に取り組むことを通して、武道の伝統的な考え方を理解」することをねらいとすると言っていますが、問題は、「武道の伝統的な考え方」とは何か、ということです。

純粋に武術・武道を愛する人は、国のためでなく、あくまでも自分のために自分の技を磨いているのではないでしょうか。

ブログ内検索

このblog の紹介

 塩崎義明(しおちゃんマン)の公式メインブログです。教育問題について語ります。

管理画面


しおちゃんマンProfile
 37年間千葉県浦安市の小学校現場で学級担任として勤導論などを担当。全国生活指導研究協議会常任委員。黒猫大好き。

塩崎義明OnlineOffice




oshio412b9c9f-s.jpg

全生研
しおちゃんマンツイッター
Facebook 塩崎義明
しおちゃんマン Facebookページ
Instagram YoshiakiShiozaki

【しおちゃんマンの本!】
【最新本】






2刷目!!
皆様のおかげです♪





【旧】ザ・教室blogはこちら。膨大な過去ログあり。
blog.gif

このblogのカテゴリー

月別アーカイブ

06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  04  03  02  01  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09 

ヨシムネ&ねね

しおちゃんマンの飼い猫、黒猫ヨシムネと ねね

ヨシムネ
ヨシムネ ♂
2005年8月生まれ。2006年8月に動物病院からしおちゃんマン家にやってきた。

ねね
ねね ♀
2008年6月生まれ。教え子(当時小6)達が公園で保護。2008年6月よりしおちゃんマン家の家族に。2017年7月28日逝去。

カウンター