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あぶりだされる子どもたち




 障害のあるとされている公立小中学生のうち、通常学級に在籍しながら必要に応じて別室などで授業を受ける「通級指導」の2017年度の対象者は前年度から1万635人増の10万8946人となり過去最多を更新したことが2018年3月29日、文部科学省の調査で分かりました。
(2018年3月29日日本経済新聞より)

 調査を始めた1993年度から24年連続の増加で、初めて10万人を超えています。

 注目すべきは、急増しているほとんどが『発達障害』と呼ばれている、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、自閉症(ASD)であることです。
 
通級525

(平成31年2月22日文部科学省初等中等教育局特別支援教育課資料より)

 一方で、特別支援学級に在籍する小中学校の児童生徒数が、2006年から2016年の10年間の間、2.08倍に増えていて、増えた理由として『発達障害』と診断されている子どもの急増があげられています。

特別支援525

(船橋市教職員組合資料より)

 文科省は、これらの現象について、
 
「発達障害の認知が広まり、一人ひとりの障害に合わせて個別に指導する必要性への理解が広まっている」
と見解を発表しています。そういったことも確かにあるけれど、果たしてそれがメインの原因でしょうか?

 以下、現場目線で考えてみましょう。

  *  *  *  *  *  *  *

 2006年の教育基本法改正に向けて教育委員会・学校現場は次第にその方向で教育方針を変化させていきました。 "国のために貢献できる人づくり" を前面に押し出した新教育基本法に沿って、現場では、より強く一斉に、一律に、競争的に教育活動が進められるようになりました。

 学校は、今までの校則のような規則で子どもたちを管理するだけでなく日常生活の細部にまで及ぶようになりました。

 下駄箱のかかとの位置を数ミリ単位で決める、傘の柄の方向を統一する、給食を食べる時はしゃべってはいけない、掃除も黙働、話の聞き方は頷き方まで統一させ、発言のマニュアルも細かな語尾まで徹底させる。

 時間を守り、誰とでも仲良くし、ケンカは許さない。思いやりを持っている言動が称賛され、感情的になることは評価されず、身の回りは常に清潔でなければならない。仲間同士では『嘘芝居コミュニケーション』を強いられ、それができないと排除される。

 さらには、これらの日常指導マニュアルを「学校スタンダード」と称して、教師の指導指針&マニュアルとして徹底させる学校も増えています。その中で、教師もまた、目に見える形での成果を出すことが以前よりも強く求められています。

 発達障害と診断されて通級を利用したり、特別支援在籍者数が増えだしたり、教師の精神的疾患で休職する数が増え出したのも、この200年前後からです。

 国の教育方針と、これらの数の急増とに何らかの関係があるのではないかと考えるのが自然です。
 
休職525

(平成30年度公立学校教職員の人事行政状況調査より)

※これに加えて、同じ時期に児童虐待数も増えています。
虐待525

(厚生労働省 平成30年度の児童虐待相談対応件数資料より)

  *  *  *  *  *  *  *

 私は、2000年前後から、一斉・一律、競争の教育が広がったことで、それに適応できない子どもたちが「あぶり出された」疑いがある、と考えています。それが、通級指導や特別支援学級在籍者数の増加につながっているのではないかということです。
 みんなと少しだけ行動スタイルが違うというだけで、個性ある愛すべき子どもたちが押し出されているのではないか、ということです。

 二つ目は、 そんな中、子どもたち同士の中にも、『嘘芝居コミュニケーション』『いづりつながり(いじりコミュニケーション)』のような、高度?なコミュニケーションスキルが子どもたちに求められるようになり、それについていけない子どもが、排除・撤退しているのではないか、ということです。
 
 この『嘘芝居コミュニケーション』『いじりコミュ』とは、空気を読みながら、「できる人間、平気な人間」のふりをして、強い意見に同調し、時にはおちゃらけ、意図的に誰かをいじり、キャラ起てしながら時には自分がいじられるように仕向け、そのために必要以上に悪ふざけができる自分を演出する関係づくりです。
 
 このような空間の中で、仲間内で誰かをいじることによりつながろうとします。いじられる側はそのことで居場所になり、いじる側はそのノリの良し悪しでキャラが起つのです。

 ちなみに、いじりは、いじめに発展することが多いのですが、いじる側もいじられる側もそれに気づかないことが多いのです。なぜなら、彼らにしてみたら、それはいじめではなく、仲間づくりであり、自己防衛行動なのですから。

  *  *  *  *  *  *  *

 時々、現場に出たり、訪問させてもらったりしています。
 
 その中で、特別支援学級、保健室、カウセラー室、図書室 等々……いわゆる普通教室ではない空間が、あぶりだされた(あぶりだされがちの)子どもたちの「シェルター」になっていることに気がつきました。

 発達障害と診断された子どもたちが、学校や社会の管理・支配から抜け出し、自分のペースでゆったりと笑顔で生活しているのをこの目で見たのです。
 
 一方で、今回の、長引く休校の中で、学校の意味が問われ始めています。いったい日本の学校は、誰を対象に、何を教育してきたのだろうか、と。
 
 もしかしたら、子どもたちの幸福や夢実現は、あぶりだし機能を持つ『超支配的学校』の外側にあるのかもしれないと、ふと思ってしまうことがあるのです。




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 塩崎義明(しおちゃんマン)の公式メインブログです。教育問題について語ります。

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 37年間千葉県浦安市の小学校現場で学級担任として勤導論などを担当。全国生活指導研究協議会常任委員。黒猫大好き。

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ヨシムネ ♂
2005年8月生まれ。2006年8月に動物病院からしおちゃんマン家にやってきた。

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2008年6月生まれ。教え子(当時小6)達が公園で保護。2008年6月よりしおちゃんマン家の家族に。2017年7月28日逝去。

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